研究2年次の本年度も、平成20年1月、プランゲ文庫に現地調査した。国語教科書・国語副読本・国語参考書・国語問題集・教師用指導書などについて、その表紙・目次、奥付、内容の一部をデジタルカメラで撮影した。その途中経過での気づきとして、以下のことが挙げられる。 1 紙不足の時代と言われ、教科書の発行が危ぶまれながら、副読本、参考書、問題集の類は、多種・大量に編集・発行されている。この現象について、子どもへの大人の責任と受けとめるべきか、それとも商業主義(商魂たくましい)と受けとめるべきか。 2 児童文学と副読本とはその境界(分類)が困難である。児童文学の中にも「小学○年生用」などと表記されたものがあり、副読本との区別が難しい。現時点では、両者を区別することなく、含めて捉えるべきかと考えている。 3 参考書・問題集は教科書準拠のものが多い。国定教科書・検定教科書の予習・復習など、日常の学習にそのまま使えるものとして編集されているものが多い。また一方、大学受験が中心であるが、受験用(参考書・問題集)も存在している。 4 参考書・問題集は、構造が極めて近似しており、多くが、解題、語句解説、学習の手引きなどとなっている。 5 そのため参考書・問題集等の書名が、競って、「楽しく学べる」「新しい学び方」「一番わかりやすい」「必ず力のつく」など、大げさな表題になっている。 6 極めて大量に出版されたと見ることが出来るが、経済的に逼迫した時代にあって、これらが実際にどのように利用されたかについては未詳である。
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