研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果は、次の3点である。1)歴史学習における「史料」と「資料」の位置関係を一定程度モデル化できた。これまで歴史学習は「調べ学習」を採り入れた学習においても、「本、教科書、資料集、事典」あるいは最近では「インターネット上の記事」など「資料」から始まっていた。ところが本研究で開発した授業は、いずれも「史料」の検討から出発し、「史料」の検討過程の中で「資料」を参照する、という位置関係になっている。このように小・中学校のどの題材を取扱う場合においても、「史料」への探求と「資料」の参照という緊張関係のある歴史学習が可能性であることを示し得た。2)学校歴史学習における「史料」論に関する新たな地平を展望できた。文字で記された痕跡としての歴史学研究の「史料」とは異なり、学校の児童生徒においては、今日の博物館展示のあり方が示唆しているように、厳密に「史料」とされない視覚的、体験的なものこそが歴史学習の出発点となり、そのような広義の一次資料としての「史料」こそが探求の対象になる。このような観点から、学校歴史学習における教材構成を再検討することが求められよう。3)「史料」を中心とした学校歴史学習と博物館活用の方向性を明らかにした。学校歴史学習にとって博物館は、「史料」が豊富に存在するという空間的な所在場所だけにはとどまらない。今日の博物館には全体を俯瞰してその「場」に入り込み、そこから構成的に細部を志向してゆくという全体先行型の学習と、実物等の細部から出発し全体を構想してゆく参加型の学習との、両面にわたる学習が可能なように展示が構成されている。学校歴史学習からみれば、「史料」を中心とした学習を学校で進める一方、「資料」から課題を見出す学習を博物館を活用して行うという方向性が十分に考えられる。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (6件)
山口大学教育学部教育実践総合センター研究紀要 25号
ページ: 313-327
Bulletin of the Integrated Center for Education Reserch and Traning, Faculty of Education Yamaguchi University vol. 25
山口大学教育学部教育実践総合センター研究紀要 23号
ページ: 81-92
山口大学教育学部教育実践総合センター研究紀要 24号
ページ: 115-128
Bulletin of the Integrated Center for Education Reserch and Traning, Faculty of Education Yamaguchi University vol. 23
Bulletin of the Integrated Center for Education Reserch and Traning, Faculty of Education Yamaguchi University vol. 24