香川大学教育学部特別支援教室「すばる」において、これまでに作成していた算数基礎テストに改訂を加え、小学校第1〜3学年の児童を対象とする新たな算数の調査問題を作成し、教育学部附属小学校及び公立小学校で実施した。この調査問題は、算数を苦手とする児童を早期に見出すとともに指導の方針や方法などを検討する際の基礎資料を得ることを目的として作成されたものである。また、本調査問題では、乗除法を含む四則演算に関する計算問題や文章題だけではなく、基礎的な数概念や論理的思考をみる問題なども取り入れた。今後は、小学校第4学年以上の児童を対象とする算数の調査問題の開発も求められる。そのために本研究では今年度、乗除計算の適用分野の1つである面積に関する授業事例研究・調査研究や、面積概念の基礎の1つである図形概念に関する問題についても改めて検討を加えた。その結果、面積の求積公式の理解に課題が見られること、面積と周長との分離は第4学年の面積への導入時に扱われてはいるものの児童にとって困難な課題であることが見出された。また、小学校第2学年で扱われる基礎的な図形概念が第3・4学年でいわゆる剥落を生じる傾向がみられることから、調査結果をもとに、面積をはじめとする図形を扱う単元では、基礎的な図形概念の再学習が重要であることなどを指摘した。なお、今年度に開発し実施した算数調査に対する分析・検討は来年度に実施し、その結果は特別支援教室「すばる」の研究発表会で報告する予定である。
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