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2006 年度 実績報告書

大学入試における現代文と入学後のリテラシー能力の開発に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18530719
研究種目

基盤研究(C)

研究機関立教大学

研究代表者

石川 巧  立教大学, 文学部, 教授 (60253176)

キーワード入学試験問題 / 現代文 / リテラシー能力
研究概要

今年度は、「読むことの「客観」幻想-マークシートのなかの入試現代文」(「九大日文」第7号、P73-97、2006年6月・九州大学日本語文学会)、「占領期の入試現代文」(「文学」第7巻.第6号、P80-95、2006年11月・岩波書店)、以上2本の論文を執筆した。前者は、大学入学試験におけるマークシート形式の普及によって、言葉で表現された世界に「客観」的な真実があるかのように見せかけることで階層社会の秩序を維持しようとする側の論理と、社会が硬直していくことへの懸念からそれを批判し、「読む」という能力を科学的かつ論理的に鍛えていくことが必要だとする側の論理が、奇妙に一致していくことを論証し、立場の違う人々が、それぞれに「客観」という幻想に過剰な期待を抱くような同床異夢のなかで共通一次試験という制度が実施され、それが私立大学をも呑み込むかたちでスタンダード化してきたことを指摘している。後者の論文では、占領期の日本にあってGHQ/SCAP内で文教政策を担当したCIE(民間情報教育局)が、アメリカ型の知能検査を導入して生徒の能力を多様な観点から客観的に判定する方針をとり、それを学科試験にまで拡大しようとしたため、現代文もそれまでの記述中心の形式では対応できなくなり、読解力を客観的に測定する試験問題の開発が求められるようになった問題を検証した。また、現代文という入試科目の形態や内容はこの占領期にほぼ確立され、現在に至るまで基本的な骨格をほとんど変更することなく続いていること、どのような文章を出題し、どのような設問を用意するかという出題者側の論理はもちろんだが、解答作成に必要な知識と文章読解力を身につけようとする受験生側の対策も、実はこの時期に提唱された形式を雛形としていることを歴史的に考察した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 読むことの「客観」幻想-マークシートのなかの入試現代文2006

    • 著者名/発表者名
      石川 巧
    • 雑誌名

      九大日文(九州大学) 第7号

      ページ: 73-97

  • [雑誌論文] 占領期の入試現代文2006

    • 著者名/発表者名
      石川 巧
    • 雑誌名

      文学(岩波書店) 第7巻6号

      ページ: 80-95

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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