研究概要 |
本研究の目的は,高校統計教育カリキュラムにおけるグラフ電卓による教材を開発し,実験授業により開発された教材の効果を特定して,それらの教材をデジタルコンテンツ化することであった。 【教材のデジタルコンテンツ化】(平成21年4月~平成22年3月) ・グラフ電卓シミュレーションソフトウェア(fx-9860G Manager Plus)を利用し,グラフ電卓の操作やデータ分析の結果を動画としてデジタルコンテンツ化した。 ・平成24年度全面実施の中学校学習指導要領における数学「資料の活用」領域,ならびに平成24年度学年進行で先行実施の高等学校学習指導要領における数学I「データの分析」領域の教育内容に対応させた教材一覧表を作成した。 ・デジタルコンテンツをネットワークハードディスクにアップロードし,教育的利用の促進を図った。 ・総務省統計局の統計教育のためのホームページに,統計教育の学習指導案をアップロードした。 【教材の効果測定】(平成21年4月~9月) ・附属高等学校に協力を依頼し,デジタルコンテンツによる統計の実験授業を16時間にわたり実施した。 ・ARTISTによる統計的思考力の評価基準に基づき,わが国の教育内容に対応させた評価問題25問を開発した。それらの評価問題を用いて,教材の効果を測定した。その結果,分布に歪みをもつ特徴的なグラフによる事例を提示した実験群の方が,正規分布に近いグラフによる事例を提示した統制群より評価問題の正答率が高いことが明らかになった。 【研究成果発表】(平成21年5月~平成22年3月) ・信州大学教育学部附属長野中学校において,グラフ電卓を利用した統計の指導に関するワークショップを開催した。 ・日本科学教育学会年会の自主企画課題研究として,研究成果を発表した。 ・統計関連学会連合の連合大会の企画セッションとして,研究成果を発表した。 ・グラフ電卓を活用した中学校・高等学校における統計の指導に関する図書を出版した。
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