研究当初、筆者らは家庭科教諭と栄養教諭の望ましい連携授業のあり方を模索することが大切であると考えていた。しかし栄養教諭制度創設に関して、家庭科教諭の栄養教諭制度に対する捉え方に複雑な感情が存在することを感じていたことから、まず家庭科教諭と栄養教諭を目指す学校栄養職員(調査時には栄養教諭も少数含まれる)を対象に、栄養教諭制度創設に対するそれぞれの意識調査を実施した。その結果自由記述から、回答者の2割は複雑な心境を持つものの、家庭科教諭の栄養教諭制度に対する期待はかなり大きいことが伺われた。一方食育に対する考え方には両教論間に相違が見られた。家庭科教諭の考え方の多くは、児童生徒の生活全般に目をむけ、多面的に働きかけることが食育の効果を上げられるというものであった。また家庭科教諭の複雑な感情とその理由も大よそ把握することができた。さらに学校栄養職員・栄養教論への調査結果から、連携授業は学級活動、家庭科の授業、総合的な学習の時間で行われていることが多く、回答者の7割が様々な問題に直面していた。連携授業における課題としては、「打ち合わせ等の時間に関するもの」「学校・教員側の認識に関するもの」「児童生徒理解に関するもの」「自分の力量に関するもの」等が明確になった。以上については女子栄養大学紀要39号に発表した。また20年度も栄養教諭にインタビューを実施している。さらに埼玉県内中学校における家庭科・栄養両教諭の連携授業をビデオに収め、両教諭へのインタビューを実施した。一方、女子栄養大学短期大学部の栄養教諭を目指す学生に、前年度作成のビデオを視聴させ、連携授業における栄養教諭の役割理解度に関するアンケートを実施した。本年度はこれまでの研究成果をふまえ、研究課題のまとめを行う。
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