本研究は、基礎的研究として、戦後昭和20年代初期からの全国各県、各市の教育課程づくりとカリキュラム創造の実際(教育課程(基底プラン)を調査・分析し、その成果をふまえて、これからの我が国の教科学習と総合的学習を支える国語学力育成の観点及び方法に関して若干の提案をおこなうことを目的とした。 まず全国各地の「教育課程基底案」収集して各県別一覧表を作成し、ついで、その教育観・構造・内容・実践の典型(熊本県隈府プラン、坂出附小教育課程表、など)を分析し、そこには、記憶・再生的な学力を基礎学力と捉えそれらを使って問題解決学習を進めていた事実、さらにその過程に働く能力として「比較・類型化・予測・仮説・価値づけ・分析・総合・構造化・判断・自己評価」などを析出し「知的能力」あるいは「学習力」と名づけてその育成を図ろうとした「教育課程案」が創造されていた事実を明らかにした。この「知的能力」の析出と教育内容化の試みは、2008年「学習指導要領」の掲げるこれからの教育課題「思考力・判断力・表現力」の先蹤である。 私たちは、「言語活動をとおして全教科の学習を支えることばの力」を育てるには、国語科の学習指導や総合的な学習において、言語知識の習得と問題解決学習とを包括しさらに「知的能力(比較・分析・仮説など)」の育成とを重層的に組み合わせるカリキュラムと指導方法の開発を提起した。
|