本研究の目的は、全教科の学習を支える国語学力を明らかにすることである。 方法としては、まず、戦後初期の新教育草創期(1947〜1955年)に創られた全国各地の「教育課程基底案」を収集し、各県別一覧表(リスト)を作成した。 「教育課程基底案」は、各県・各市町村自治体の教育委員会と各学校との実践と交流をとおして生まれたのであった。膨大なエネルギーをそそいで生まれた「「教育課程基底案」には、現場教師達の実践に即したと教育的叡智を見ることができる。 ついで、その「基底案」を、(1)教科教育型、(2)コア・カリキュラム型、(3)折衷型、の3タイプに類型化した。そして、(2)コア・カリキュラム型の問題解決学習指導案の中に「知的能力・知的操作力・学習力」という概念が芽生えていることを見出だした。それは、「知識としての学力」と「活動または経験」との間に働く「思考力」・「知的能力」・「問題解決能力」のような見えない能力の存在である。実際に経験主義に立つ総合的生活教育をおこなった教師たちが、目に見えないそれらの能力と、「語彙、文型、論理」との関係についても気づき始めていた事実を明らかにした。 本研究は、これらの「芽生え」と「気づき」を」発展させて、着想・予測・仮説・構想・比較・分類・範疇化・分析・総合・構造化の諸能力が「全教科の学習を支える国語学力」であることを明らかにし、その教育の必要であることを提案した。
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