本研究は、過去4年間にわたる、研究の第二(最終)段階に位置づく。 本格的なメディア・シンセシス材の開発がめざされた。本研究の成果は以下の通りである。 1)CPの特性をいかした電子案内書型教科書風の文化遺産学習教材ソフトが開発できた。とくに、『フランス・バーチャル・トリップX日間』は各ページの配色がフランスの国旗の色を基礎にしたものとしたのがユニークな点といえよう。 2)CPの特性をいかした本教材は、画像や各種資料などがひとつに統合されたメディア・シンセシス教材でもある。標準的なCPの画面に収まってしまう全10ページ(10画面)のインターフェイスはもしそれが紙媒体であればその面積をこえる情報をそこに盛り込むことは不可能である。ところが、電子教科書である本教材ソフトでは、各ページが基本的に5つの部分に分かれるだけでなく、分かれた部分のさらに文章や、写真などの映像、それぞれがまた、他の情報をのせたページとリンクしており、その情報のページを必要に応じて5つの部分の中に呼び寄せて開いたり、必要がなくなれば閉じたりすることができるように設計した。資料や写真は小アイコンや見出し文字で示されているが、いずれも、クリックひとつで見易い大きさに拡大表示され、教師・生徒が授業の途上で参照しやすく設計した。また、資料などの数や大きさは紙媒体の教科書では考えられないほどのものが可能であることを示した。 3)本教材の開発を行なったCPはMacである。作成したHTMLはWindowsでも読むことが可能であり、OSフリー・ソフトとして同等に使用できる。また、それぞれのページのスクリプトを簡易エディターにドロー・アンド・ドロップしてみればそのスクリプトがわかる。すなわち、この教材ソフトは、簡易性と追試可能性を兼ね備えている。
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