研究課題/領域番号 |
18530736
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
近藤 久史 神戸女子大学, 文学部, 教授 (60132718)
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研究分担者 |
二文字 理明 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030461)
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キーワード | 授業研究 / 道徳教育 / 根源的価値 / スウェーデン / 子どもの読解力 / 子どもの個性 / 教師の教材解釈 / 考えの相違 |
研究概要 |
平成18・19年度に渡り、小学3年、5年、6年生を対象とした4校での授業実践の結果、「あなたへ」シリーズの教材の有効性が明らかになった。この教材が児童を引き付ける要因は、(1)「あなたへ」は児童の迷いや戸惑いをそのまま受け入れるアンビバレントな感情が表出されていることである。(2)深刻な個人的な特殊な問題が、誰も同じという普遍的な問題へと拡がっていく。(3)「あなたへ」が、社会的弱者への気づきと思いやりが自分のこととして考えられるきっかけとなる。(4)わたしとあなたの関係性を両者の立場に立って、深く追究できる。 この研究を通して明らかになりつつある問題を、授業実践者の変容と授業参与観察者の授業分析視点の両面から記述する。 授業実践者は、「あなたへ」を活用した「こころの教育」を実践して、授業観が変容したことを自覚している。まず、児童には学びは楽しさばかりではなく、こころの葛藤を引き起こす苦悩も含まれていることを知らせる。また、児童同士のトラブルを一方的に制止するのでなく、トラブルこそが成長を促すものと考えるようになさった。そして、理解の遅い子や課題を持つ子への接し方が、教師の親切すぎる個別指導から、児童同士の自然のかかわりを待てるようになった。 授業参与観察者の授業分析視点は、次の四つである。(1)授業が展開された教室全体をひとつの舞台と見て、そこに展開されたドラマを分析する。(2)学級の中に形成されるリーダーたちの授業での活躍と影響力を追究する。(3)授業過程の中で大きな変化を遂げた一人の児童の思考について探求する。(4)教師から児童への「言葉かけ」にみられる「あたたかさ」の源を「児童の発した言葉を繰り返すこと」に求めて、考察する。
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