研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、構造的に整理された諸外国の教育課程を我が国のものと比較、検討することによって、今後の美術教育のあり方を探るための手がかりを得ることを目的とする。比較、検討する対象は、構造的に整理されているとされるイギリスやアメリカ合衆国などの欧米の教育課程、及び、それまで欧米的であったが我が国の子どもの活動を重視する教育課程の影響を強く受けたとされる中国や韓国などの東アジアの教育課程である。これらの教育課程について調査し、詳細に比較、検討することによって、我が国の教育課程の子どもの主体的な活動を重視する姿勢を保ちつつ、教育課程の構造をより明確にするための方策の提示を試みる。今年度は、上記の目的を実現するための準備を進めた。年数回の研究会を開催し、教育課程に関する諸概念等について検討するとともに諸資料を収集・整理・分析した。具体的には、わが国及び諸外国の教育課程に関する諸資料を収集・整理するとともに、我が国の学習指導要領の外国語訳、諸外国の教育課程の日本語訳の作業を進めた(この作業については、来年度も引き続き行う)。また、これにかかわって、教育課程を構成する「目標」「内容」「方法」「評価」といった諸要素の概念について検討した。さらに、昭和22年以降の図画工作、美術、芸術(美術、工芸)の学習指導要領及び児童・生徒指導要録のデータベースを作成し、現行の学習指導要領にいたるまでの過程を様々な角度から検討し、我が国の学習指導要領の構成原理について検討した。