1.オモチャ・教材の開発について (1)重度運動機能障害により明確に把握することが困難な意図的動作を客観的に把握することを試みた。その結果1名のSMA児で、観察上は、Yes/No反応が混乱しているように見える指の左右の動きは、YesとNoが別個の動作パターンを示すことをデジタル的に確認した。このことから当該対象児は(1)質問を的確に認識し意図的に反応していること、支援者は(2)連合運動の発生する身体状況を把握することで意図を客観的に把握できることの2点が、明らかとなった。この過程で、昨年度報告の左右の指動作による選択(ON)によるYes-No反応を表示するソフトウエアとデジタルVTRの同期的分析、上肢の位置の確保と指動作によるスイッチ操作を安定的に確保するセッティングシステムの開発、及びコンピュータ画像の提示に関わる市販品の適用、についても同時的に推し進めた。また、重度脳性マヒ者においては、研究協力者後藤がフリーソフトウェアを改良し対象者に適用して改変・作成したAAC(代替コミュニケーションシステム)により、日常会話場面での活用が活性化し確認できるボキャブラリーが飛躍的に増加した。 (2)重度運動障害者を対象に、インターネットを介してのソフトウエア開発の支援を開始する準備を継続中である。メール環境により、大学と入院先の病室を接続し、日常的なメール交換が可能となった。しかし、ソフト開発に必要な学習的情報の交流には至っていない。 2.領域融合カリキュラムモデルについて 代表者村上と研究協力者菅井が、分担者水谷のバックアップを受け、公開講座、特別支援教育総合研究センター主催ワークショップにおいて、AACに活用する電子部品の作成内容を取り上げた。各自のスキルレベルにより作業内容の容易・困難はあるものの、特別支援教育を支える視点の拡大の必要性を認識できることが、参加者の意見・感想により明らかになった。
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