研究概要 |
本年度は地域の実態を踏まえた幼稚園・保育所における「特別ニーズ」保育への専門的支援の現状を明らかにするため,以下の調査研究を実施した。 1.就学前段階の特別支援教育におけるセンター的機能で実績をあげている附属A特別支援学校の幼稚園・保育所への専門的支援の現状と課題について,支援担当者に面接し,問題点と課題を把握した。同校は今後幼稚園・保育所への支援の特化するため,支援部と幼稚部を緩やかに統合した組織に再編し,従前の幼稚園・保育所へのコンサルテーションによる相談支援,保育士・幼稚園教諭の研修講座の提供,家庭支援計画の作成のほかに,知的障害乳幼児のアセスメントや指導法・カリキュラムの研究,リソースとしての短期教育プログラムの提供を計画していた。 2.先進的な自治体Bの福祉,療育部門を中核とした幼稚園,保育所への専門的支援の現状と課題については,関係機関への実地調査を行って分析した。支援システムが機能している自治体では,関係行政部局が参画し,保育所,幼稚園と療育施設とによる協働した就学前幼児の包括的支援が実施されていた。単独自治体の枠を超えた地域としての支援システムの構築の必要性が示唆された。 3.療育機関を核に積極的なC市の専門的支援の実態と保者のニーズについて幼保園を対象に聞き取り調査を実施した。園内の「特別ニーズ保育」体制が進展していること,療育施設と連携した支援システム整備されているといった状況が把握された。 最後に,3年間の研究結果に基づき,連携研究者,研究協力者と協議を行い,研究成果報告書をまとめた。
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