研究概要 |
4年間にわたる本科研費補助金による研究の最終年であり、この間行った2回の調査(2006年度、2008年度)および、以前の調査(2000年度、01年度、03年度)を合わせて、計5回の調査データを結合し、精査する作業をおこなった。また、ECDP(ヨーロッパ発達心理学会)に出席し、海外における、多動など発達障害をもつ子どもの発達・子育て・学校生活に関する問題やその支援の取り組み、成果について新しい知見を得た。 これらをもとに、小学生時点で何らかの発達障害傾向(LD, ADHD, PDDなど)をもつ子どもの親の、子育て困難感、学校関連の不安、学校・教師への要望を、一般群の親と比較しながら明らかにし、論文化した。また今年度ははじめて、回答者(母親)の子どもである小学生に対しても質問紙調査を行ったので、子ども本人の自己肯定感・精神的安定感などを尋ね、不登校との関連で分析・考察を行い、論文化した。 本研究は、多人数の良質な回答者の協力により、信頼できる回答をもとにした貴重な成果であり、特に「小学生時期の親の子育て困難感」という点では学会においても、未開拓の分野に貢献できているといえる。 2010年度から4年間の科研費による継続研究も採択されたので、今後は乳幼児期から青年期にわたり都合14年間の縦断調査データが蓄積されることになる。このデータを縦断的に分析することによって、乳幼児期の子どもの個性・問題と親の子育て困難感、支援要求の関連、支援のありかたついて考察していきたい。
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