研究概要 |
本研究は,近年,自閉症の割合が増加傾向を示す特別支援学校(知的障害)において,自閉症の児童生徒の特性に配慮した指導方法,援助内容等を明確化することを目的としている。平成18年度は,自閉症のある児童生徒の学校における望ましい実態把握のあり方の検討を中心に実践的な研究を進めてきた。 第一に,研究協力機関である埼玉県立本庄養護学校において,自閉症・発達障害児教育診断検査(PEP-R)を学校側と共同で実施し,個々人のプロフィール表及び支援の指針を作成し,保護者にも内容を伝達した。これらの検査結果や指針は,各学級での授業内容や個別の教育支援計画の作成に役立てられている。また,心理査定を実施した8名の事例については,その特徴を多面的に分析し,小中学部段階における自閉症のある児童生徒の社会自立に向けた,具体的な指導方法や援助内容等を検討している段階にある。 第二に,学校視察として,本年度は自閉症の教育課程について先進的に取り組んでいる筑波大学附属久里浜養護学校と,自閉症児と健常児の混合教育を進めている武蔵野東学園武蔵野東小学校に出向き,小学部(小学校)段階での自閉症の児童への配慮・支援・教材及び環境整備の工夫等について情報収集を行った。 第三に,大学近隣の知的障害養護学校,社会福祉協議会等と連携し,共学支援プログラム(大学生が地域ボランティアに登録し,授業の補助や校外行事の付き添いなどを体験的に実施するプログラム)を進めてきた。本年度は,次年度,特別支援学校で実習を行う学生を中心に,延べ222名の学生が児童・生徒の学習支援や校外学習等に参加し,体験及び実践を積み重ねている状況にある。
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