研究概要 |
本研究は,知的障害特別支援学校に在籍する自閉症の児童生徒に対する効果的な支援方法や配慮事項を明確化することを目的としている。平成20年度は成果報告書の作成を中心に,以下の研究を進めてきた。 1.自閉症児の教育内容・配慮事項を明確化するため,自閉症教育に携わる教員(有効回答者66名)にアンケート調査を実施し,その結果を分析した。最も回答率が高かった内容は,コミュニケーションの支援(113)で,以下,構造化の手だて(69),社会性の支援(43),視覚的な支援(42),興味関心の幅を拡げる(36)などが続いていた。自由記述からは,「当事者の気持ちに寄り添う」「連携・協力の強化」などの内容が記されていた。さらに,学校・家庭・地域が連動することで,将来の生活を見据えた支援が成り立つなどの指摘もあった。いずれも,今後の自閉症教育の課題として的を射た指摘であり,自閉症教育に携わる関係者が,目指すべき支援の方向性を意味していると考える。 2.自閉症を含めた通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒の実態把握のあり方を探るため,養護教諭を対象に相談活動のアンケート調査を実施した(有効回答者154名)。実態把握の方法で最も多かった内容は,学級担任からの情報(141件)で,以下,日常の子どもの観察(134件),保護者からの情報(98件),校内委員会での検討(89件)などが続いていた。アスペルガー障害(又は高機能自閉症)などの概念は,近年,話題とされてきた内容であるため,彼らに対する適切な実態把握の導入と共に,学校内の関係者や保護者への理解啓発の推進が不可欠であると考えられた。 3.研究開始当初から取り組んできた共学支援プログラム(本大学の学部生が特別支援学校の授業補助などに参画する)を推進した。平成20年度も,延べ200名近くの学生が近郊の特別支援学校等に出向き,自閉症を含めた教育的ニーズのある子どもたちのサポートを行った。
|