通常学級で学習困難を示しながらも、特殊領域・方法に関して、とくに理科で才能を併せもつ「二重に特別な」児童生徒の特別な学習ニーズを識別して、理科の学習を個性化する方策を探ることを目標とした。そのために今年度は、通常学級における学習困難な児童生徒について、教師がその才能についてどれだけ認識しているのかを調べることを目的として、まずアメリカ等の研究・実践の資料に基づいて、独自のチェックリストを開発した。 そして、愛媛県松山市教育委員会を通じて、選定された同市内の小学校に、開発したチェックリストの質問紙調査を依頼した。8校で4学年(3〜6)、1組ずつ、まず「学習につまずく」児童(LD等発達障害と認定されない者を含む)を1組約2名選んで、同数の普通の児童も併せて、学級担任と理科担当教師に、質問紙に回答してもらった。「学習全般で優れた行動のチェックリスト」は、学習、創造性、意欲、空間的能力の観点から、日常(教科全般・教科外)的な学習場面での才能行動について40項目を、学級担任が4段階評定した。 また「理科で優れた行動のチェックリスト」は、関心・意欲・態度、科学的な思考、技能・表現、知識・理解の観点から、理科全般での才能行動について60項目を、理科担当教師が4段階評定した。 得られた結果から、まずチェックリストの項目をより妥当なものに吟味して質問紙を洗練できた。また学級担任と理科担当教師が、児童のふだんと理科の行動を照合することによって、隠れた得意な学習領域・方法が浮かび上がらせられることが分かった。次年度は、理科全般で妥当なチェックリストを基に、学年・領域・単元ごとのチェックリストを作成して、学習困難児の優れた領域・単元を見出し、その領域で才能を生かす(才能を利用して学習困難を補償し、学習意欲・自信をもたせる)学習方法を開発する予定である。
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