研究課題
基盤研究(C)
吃音者のストレス事態に対する生理的変化を計測するとともに、吃音の重症化・治療的予後につながる基礎資料を得た。1、吃音者における吃音症状変動(成人吃音者10名):心理的ストレス・コミュニケーション上のストレス・社会的ストレス・生理的ストレスでは、前2者のストレスの影響が大、生理的ストレス(疲労)の影響もあった。吃音の改善には、心理的要素が作用していた。2、若年健常者、吃音男性のストレス反応度(健常男女各150名、18名、吃音男性14名):「心理的ストレス尺度(PSRS)」「ストレス度調査票」「ストレス耐性低下度調査票」「PHRFストレスチェックリストショートフォーム」を実施。大学生で、ストレス度が吃音者より強かった。3、成人吃音男性におけるストレス反応度と吃音症状の変動(吃音成人男性25名):「吃音における発話体験の査定質問紙」(OASES-2)、「心理的ストレス尺度(PSRS)」「ストレス度調査票」を実施。職場場面で発話困難度が高く、家庭場面で発話困難度が低かった。ストレス反応の高い吃音者は発話困難度大、ストレス反応の低い吃音者は発話困難度が小の傾向があった。4、言語・コミュニケーション的ストレスによる非流暢性の変動(健常男性3名、吃音男性1名):実験場面における言語・コミュニケーション的ストレス下で、健常男性では、微増加、変化なし、微減少、吃音男性では、減少がみられた。5、ストレスの唾液への影響評定実験(健常男性3名、吃音男性1名):ストレス負荷の後唾液中クロモグラニンA(CgA)値の上昇傾向がみられた。6、ストレスの脈波、皮膚電気反射(GSR)への影響評定予備実験(健常成人男子2名):心拍数、心拍変動の増加、拍動波振幅の減少、基線動揺増加を自己紹介>新来者との対話>朗読の教示>日常会話・朗読で観察、GSR出現は情動的ストレスとの関連性があった。
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in Niki Etsuo (Ed. ) Science of Stress and Health
ページ: 116-121