障害者基本法一部改正や中央教育審議会答申等によって、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との「交流及び共同学習」の推進が強く求められている。本研究はこれらを受け、通常の学級における障害理解授業の実施等、「交流及び共同学習」を推進するために整備すべき環境を明らかにすることを目的としている。本年度は研究初年度にあたり、(1)障害理解授業の教材や学習プログラムの開発と(2)学校現場における交流及び共同学習を推進する環境整備に関する実地調査の2点を実施した。 障害理解授業研究は聴覚障害を中心に実施した。小学校の第4学年3学級において通常の学級の担任が実施する国語科と道徳とを連続して行う授業の一部と聴覚障害疑似体験を4単位時間実施した。新たに考案した難聴体験教材によって「聞こえそうで聞こえない」状態で学校生活を送る困難さやその解決法について、児童らとともに様々に協議し、難聴への理解が深められた。また他の小学校では保護者向けに講演を実施し、障害に関する基本的知識の紹介や疑似体験から障害理解を促す試みを実施した。 実地調査では、養護学校との交流及び共同学習について学年ごとのねらいと配慮事項を吟味しながら実施している小学校、特殊学級に通常の学級の児童を招く形で交流及び共同学習を進めている小学校、通級による指導を受けている児童の在籍学級で障害理解授業を実施している小学校を訪問し協議した。これらの学校の担当者については次年度研究協力者として委託する予定である。
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