障害者基本法や中央教育審議会答申等によって「交流及び共同学習」の推進が求められている。本研究はこれらを受け、通常の学級における障害理解授業の実施等、「交流及び共同学習」を推進するために整備すべき環境を明らかにすることを目的としている。本年度は、(1)障害理解授業の教材や学習プログラムの開発と(2)他者理解力を育てる学級経営や授業の検討、(3)学校現場における交流及び共同学習を推進する環境整備に関する実地調査、(4)研究協議会開催の4点を実施した。 教材や学習プログラムの開発は視覚障害と聴覚障害を中心に実施した。教材の精選を実施しつつ、新たな試みを実施した。視覚障害では「障害のある人と共に活動する」授業、聴覚障害では障害状況を1日通して体験する授業を実施した。 授業研究から障害理解のためには適切な他者理解力の育成が不可欠であり、他者理解力の育成には自分を知ること、自分を表現できること、すなわち自己認識や自己理解が重要であることが明らかになった。 実地調査として、特別支援学校を訪問し、各学部と小学校、中学校、高等学校との交流及び共同学習について、ねらいと配慮事項等を資料収集した。実施後の評価観点の設定、年齢によって実施しにくい状況や環境があるなどの課題があきらかになった。 次年度は、通常の学級において障害理解授業も取り入れた他者理解力の育成に向けての取組を中心に更に実際的な研究を実施、とりまとめる計画である。
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