本年度は、初年度から引きつづいて日本国内の社会運動に影響を与えた雑誌類における「日韓」「韓国」関係記事を系統的に調査し、記事目録の作成及び記事内容の分析作業を行った。また、日本における「日韓」「韓国」認識が、相手国である韓国側からはどのように考えられているのか、さらに、国際的な視点から「日韓」を考える視点にどのような考え方があるのかという点を調査するため、韓国及びオーストラリアで海外調査を行った。 日本の雑誌レベルの目録作成作業を進めるなかで、戦後日本の社会運動に影響を与えた雑誌として『世界』『朝日ジャーナル』など革新系の雑誌と『中央公論』『文芸春秋』など保守系雑誌との比較分析の対象となりうる点を確認した。また在日韓国人関係者へのヒアリングを通じて、日韓両国間の相互認識や日本における「韓国」認識を考えるうえで、1980年代以降の歴史認識問題をめぐる軋轢が重要な意味を持っており、この問題をめぐる日本国内の世論や社会運動の動向を掘り下げていく必要があることが明らかになった。さらに海外調査により、韓国における対日関係の文献等の収集、及びオーストラリアにおける日本研究者・韓国研究者との意見交換を行うことができた。 また、この間に収集した資料を利用して、第二次世界大戦後の日本と韓国の憲法制定をめぐる政治力学の比較検討を行い、論文として公表した。
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