研究概要 |
Aを有限個の整数ベクトルからなる集合とし, Aから定義されるアフィントーリック多様体上の微分作用素環をD_Aとする. D_AはAにより自然に多重次数付けられている. 以前, ある種の有限性を持つ多重次数付けられたD_A-加群のなす圏についてその構造を考察した. この研究を踏まえ, 平成20年度では, A-超幾何系における同様の圏0を考察した。 A-超幾何系はパラメーターベクトルがジェネリックなときはD-加群として(圏0の対象として)既約であるが, 一般には既約でない. そこで、圏0における既約加群の研究が重要になってくる. 既約加群について以下の結果を得た : 1. 圏0における既約加群を分類した : Aから定義されるアフィントーリック多様体のトーラス軌道とそこでのパラメータを格子で割ったもので分類される. 2. 圏0における既約加群Lの多重斉次なnonzero元をvとする. Iをvのワイル代数Dにおける零化イデアルとすれば, LはD/Iと表せる. そこで, Iの有限生成系を具体的に求めるという問題について考察した. まず, Iのどの有限個のweight spaceで生成できるかということについて, Aから生成される錐の面を使った言葉で表した. これにより, 計算機でIの有限生成系を具体的に求めるということが可能になった. さらに, Aから生成される半群が単体的かつscoredなときには, Iの有限生成系を具体的に記述した.
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