当該年度は本研究課題の最終年度に当たり、関数と連分数との関連性という課題の核心における研究成果を残した。1つは、自然対数の底であるeやその冪、tanhやtanなどの関数の値を、積分を使って近似することに成功したことである。これらの値は単純連分数で表したときHurwitz連分数になることが知られているものであるが、近似分数との誤差が積分により与えられるという画期的な研究成果である。 2つ目は、双曲線関数の近似問題である。2007年に基本的な3種類の関数に関して、ピタゴラスの定理やその類似を満たすような整数の組を分数の分母・分子としに有理数で近似する問題を扱ったが、これをより一般の双曲線関数に拡張し、ピタゴラスの定理をより一般のディオファントス方程式に拡張することに成功した。 3つ目は、N連分数という非単純連分数ではあるが、分子が一定数Nとなるものの研究である。これは本研究代表者が以前招聘したことがあるBurger氏などによる循環連分数における周期縮小問題の研究成果を、擬似周期の場合に拡張したものである。この周期縮小の技法として役立っためが、今まで研究してきたLeaping convergentsの概念である。一連のleaping convergentsの研究を、nova publishersによる本でめるAdvances in Mathematics Researchにまとめた。 4つ目は、フィボナッチ・ゼータ関数という、リーマン・ゼータ関数のフィボナッチ数版ともいえる関数に対して、その連分数を与え、付随する回帰閑係式に関する様々な性質を導いたことである。 5つ目は、平成20年度までの三項関係式のleaping convergentsを四項関係式のleaping convergentsに拡張したことである。
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