(1) 与えられた無理数に対して無限単純連分数は一意に定められる。このとき連分数に現れる数からなる部分商列がどんなパターン或いは規則性を示すかが注目される。二次無理数の場合部分商列は循環し、逆に部分商列が循環するような連分数を与える実数は二次無理数に限ることが知られている。 eやtan1などの連分数は厳密には循環しないが、循環節に多項式が現れるという規則性をもち、擬似循環する。このような連分数をHurwitz連分数というが、この多項式部分を指数関数で置き換えたTasoev連分数を提唱し、一般的性質を調べてきた。 (2) しかし、擬似循環する連分数については、Hurwitz連分数であっても多項式部分が2次以上の具体例が知られていないなど未知の部分が多く、Tasoev連分数とともに特殊関数を使った再構成が示唆されてきた。特に、超幾何関数、Ramanujanのq関数、Bessel関数などとの関連性が考えられる。 (3) さらに関数的な議論が成熟すれば、個々の関数のもつ様々な性質が適用でき、ディオファントス理論、超越数論、組合せ論などへの応用が考えられる。また、整数から代数体などへの拡張も可能である。
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