研究課題/領域番号 |
18540008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹内 光弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00015950)
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研究分担者 |
内藤 聡 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (60252160)
増岡 彰 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (50229366)
増田 哲也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70202314)
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キーワード | ホップ代数 / 量子群 / 組紐カテゴリー / FRT構成 / ガロア理論 / 森田理論 / 余加群代数 / 結晶基 |
研究概要 |
ホップ代数と量子代数学の大きな応用分野として、準三角ホップ代数、組紐カテゴリーに関係する新たな結び目不変量の研究がある。DrinfeldはKnizhnik-Zamolodchikov方程式から生ずるモノドロミー表現に関する河野俊丈の定理に触発されて、リー代数の普遍包絡代数上に、あるassociatorとR元により準双代数の構造を導入した。この準双代数はKontsevichの普遍結び目不変量の構成にも大きな役割を果たす。本プロジェクトにおいて本年度は上記の研究を新しい視点から見直すことから始めた。Kontsevich及びCartierによるVassiliev不変量の研究においては無限小対称カテゴリーの概念が基本的な役割を果たす。研究代表者(竹内)は、あるベクトル空間V上の、4項関係式をみたす無限小組紐変数tから、いわゆるFRT(Faddeev、 Reshetikhin、 Takhtajan)構成と双対的な方法によりある余可換ホップ代数が構成できることを見出した。このことにより、(V、t)はある無限小対称カテゴリーに埋め込むことができ、Drinfeldのassociatorを用いてVのテンソル冪の上に組紐群の表現が生ずることになる。この表現を詳しく研究することは今後の課題である。 本プロジェクトの本年度第2の研究として、がロア理論の量子化の立場から、Caenepeel、Crivei、Marcusらと協力して、H森田理論を詳しく研究した。ここでは、あるホップ代数Hを固定し色々なH余加群代数A、B、...を考える。これらの余加群代数の間の森田同値を考えるためにH森田コンテクストの概念を導入する。余加群代数Aに対し、A加群とH余加群の構造を合わせ持つ(A、H)双加群のカテゴリーが考えられるが、H森田コンテクストは単にこれらの双加群カテゴリーの間の同値を引き起こすだけでなく、射を少し拡大して得られるH余線形カテゴリーの間の同値をも引き起こす。しかも前者の同値は必ずしもH森田コンテクストから引き起こされると限らないが、後者のタイプの同値はすべて何らかのH森田コンテクストから引き起こされるという著しい性質をもっている。これを含む、H森田理論に関する詳しい結果をJournal of Algebraに投稿し掲載を受理された。 最後に本プロジェクトの分担者内藤聡は量子アファイン代数上のKirilov-Reshetikhin加群に対応する完全結晶基の構成についてすぐれた研究結果を発表した。
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