研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き、準三角ホップ代数、組紐カテゴリーおよびそれに関係する結び目不変量等を新しい視点がら研究した。研究代表(竹内)は、1977年に発表した論文の中でbialgebraの概念を非可換代数上に拡張する試みを提唱した。この概念は近年bialgebroidという名称のもとで、G.Boe1m T.Brzezinskiなどにより精力的に研究されている。北大の渋川陽一はdynamical Yang-Baxter mapsを長らく研究していたが、最近量子群で重要な役割をはたすいわゆるFRT構成を行う際にこのbialgebroidの概念がきわめて興味深い役割をはたすことを発見した。研究代表者はこの研究に様々な助言を行い、結果を見通しよく一般化できることを示した。この仕事については現在も継続中であるが、共著論文として発表する予定である 本年度は昨年度および一昨年度に若季した本プロジェクトの研究テーマを研究実施計画に沿ってさらに推進し、多方面から研究を実施した。量子群の理論は特に表現論の分野において著しい成功を収め、.いわは代数毒論やリ一環論の量子化といった趣を呈している。この考えの延長上にある非可換環を用いた代数幾何学の建設については、昨年度に引き続き準備的研究を継続した 本年度ほ、有限群の代わりに代数群(つまり可換ホジプ代数)を用いだガ口ア理論としてのPicard-Vessiot理論をざらに発展させた量子群を用いたガ口ア理論についても研究を継続した。昨年Handbook of Algebraに投稿した、天野勝利、増岡彰とのPicard-Vessiot理論へのホップ代数的アプローチについての共著論文は掲載を受理されたがまだ出版されていない。 上にべたbialgebroidのHopf versionとしてのいわゆるHopf algebroidについては様々な定義があり再まだ定義は確定していない。Boehm,Brzezinskiらはそれについて先行的研究を行っている。渋川論文に触発されて、Hopf algebroidのより自然な定義を模索し、それをdynmical Yang-Baxter mapsに対するFRT構成に応用するための準簿的研究も行った。 最後に本プロジェクトの分担者西村泰一は量子代数との関わりにおいて、groupoidsのsyntheticな微分幾何学などを研究し、Beitrage Algebra Geom に論文を発表した。
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