概均質ベクトル空間の分類においてもっとも難しいところは、一般線形代数群とその標準表現のみが関係するところで、その簡単な揚合としてクイバーの表現で表わされる揚合がある。一応カッツが、その場合に概均質性の判定条件を出しているが、具体的なものではなく、実際には使い物にならない。クイバー型のうち、その有限型の揚合は出来ており、テイム型の揚合は、クイバーの立揚では出来ているが、スカラー倍が独立の作用するという条件をつけた揚合は、研究されていなかったので、それを完成させた。 また一点から5本の足か出ているクイバーの概均質性を研究したが、この図形がワイルド型であり、極めて難しく、ある場合だけが分類できた。さらに進めるには何か新しいアイデアが必要である。 空間全体に2次の一般線形代数群の標準表現をテンソルした概均質ベクトル空間の分類は分離型の場合には完成した。一般には2次ではなく、n次の線形代数群の標準表現がテンソルされた空間を分類したい。 今のところは、この型で有限個の軌道を持つ場合の、スカラー倍の条件をつけない場合がほぼ完成している。 スカラー倍が各規約成分に独立に作用する場合は、既に木村-笠井-保倉により分類が出来ている。 この有限個の軌道という条件をはずした場合の一般のn次線形代数群がテンソルされる場合は、自明な概均質ベクトル空間が関連する揚合の分類が特に難しいが、今回得られた興味ある結果の一つは、そのnに関して被約ではない概均質ベクトル空問で生成的等方部分群がn次一般線形代数群を含めば、それは一般線形代数群とのテンソル積である、というものがあり、これで何を法として分類すればよいか、ということは完全に決定することが出来た。 自明な場合を除けば分類は可能であると思われる。
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