研究概要 |
p進Hodge理論については,p進体上のsemi-stableな退化をもつ多様体上のsemi-stable層の理論を用いて,べき単基本群のp進Hodge理論の研究を接基点の場合も含めて完成させた.特に志甫淳の比較定理の別証明を与えると同時に,べき単なHodge構造のvariationに関するHain-Zuckerの定理のp進Hodge理論における類似を,semi-stable reductionの場合にも証明した.またde Rham表現のvariationがcrystalline表現になるためには,特異ファイバーの生成点でcrystallineになることが十分であることも同時に証明した.semi-stable reductionより悪い退化をもつ多様体のp進コホモロジーを扱うには,これまでの(log pole付きの)局所自由な可積分接続付き加群では不十分である.そこでまずsemi-stable reductionの場合のlog crystalline cohomologyをD加群の観点から研究した.log crystalline cohomologyを与えると期待されるvanishing cyclesをD加群の圏で構成し,そのmonodromy filtrationおよびgraded quotientsの構造を決定した. p進L関数,L関数の特殊値への応用に関しては,名古屋大学の坂内健一,小林真一と共同で楕円ポリログ層について研究した.楕円ポリログ層のde Rham実現の簡明な代数的記述,クリスタル実現の完全な記述(部分的記述は坂内健一により得られていた)などを与えた. 10月から12月の3ヶ月間,本科研費を用いて京都大学数理解析研究所を訪問し,Fontaine教授など同研究所に滞在した研究者と上記研究について議論した.
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