研究概要 |
1)まず特筆すべき成果は,本研究における成果を含む一般化されたカラビ・ヤウ多様体に関する一連の研究成果が認められ,日本数学会2009年度代数学賞を受賞したことである.受賞講演では当該研究成果の1つであり,Nam-Hoon Lee氏との共同研究である,カラビ・ヤウ多様体の対であって,双有理かつ自明でない滑らかな変形をもたないにも関わらず,位相的には同相ではなく射影平坦変形ではつながるものがあるというかなり意外な現象について講演した.この結果は論文“Connecting certain rigid birational non-homeomorph ic Calabi--Yau threefolds via Hilbert scheme"(Nam-Hoon Lee氏との共著)の形にまとめ,Communic ations in Analysis and Geometryからの出版が決まった(2008年12月accepted). 2)コンパクト超ケーラー多様体の射影空間上正則切断をもつファイバー空間のMordell-Weil群の階数の変形に伴う変動を明らかにし,現存する5種のコンパクト超ケーラー多様体族のうち最大階数は20であることと最大階数が0'Grady氏のコンパクト超ケーラー多様体の変形の中で実現できることを示した.この結果は論文"Picard number of the generic fiber of an abelian fibered hyperkaehler manifold"にまとめ,Math.Annalenからの出版が決まった(2008年12月accepted). 3)コンパクト超ケーラー多様体の自己同型のdynamical degreeを1次dynamical degreeから明示的に与える公式を発見し更にいくつかの興味ある具体例を計算することでSibony氏の問いに対するコンパクト超ケーラー多様体の場合の解答を与えた.この結果は論文“A remark on dynamical degrees of automorphisms of hyperk\"ahler manlfolds"にまとめ,Manuscripta Math.からの出版が決まった(2009年3月accepted).
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