研究概要 |
研究代表者の野村は、先ず3次巡回体の3類体塔について考察し、類体塔の長さが1より大きくなるための十分条件を与えた。さらに、研究実施計画に記した「非可換p群に対するガロアの逆問題」について研究した。pを奇素数とする。任意のp群Gに対して、有理数体Q上のガロア拡大K/Qでそのガロア群がGと同型なものが存在することは、Scholz(1936)により証明されている。そこで、ガロア群Gを実現するガロア拡大K/Qに「tamely ramified」という条件を付けるときに分岐するprimeをどこまで少なくできるか?という問題を考える。その最少個数をt-ram(G)で表しd(G)をp群Gの生成元の最少個数とすると円分体の理論よりd(G)≦t-ram(G)であることがわかる。d(G)=t-ram(G)という予想はあるが一般には未解決である。予想の解決を伝えた論文[Cueto-Hernandez, Villa-Salvador(2000)]もあるが、この中に本質的なミスがあることをPlans(2004, Pacific J. Math.)が指摘している。Plansは同じ論文の中でt-ram(G)の上からの評価(不等式)を与えた。本研究では、Plansの不等式を改良し、それが実質的な改良であることを示す具体例を与えた。さらに,Gが位数243以下の3群の場合にd(G)=t-ram(G)であることを証明した。これらの結果はArch. Math.に掲載予定(印刷中)である。これらの研究においては、分担者である伊藤による群論的考察、平林と木村によるイデアル類群の研究が重要な役割を果たした。
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