研究概要 |
対称関数の組合せ論とPainleve型方程式への応用においては,行列式やパフィアンに対する関係式が鍵となる.今年度も,対称式(古典群の指標)などを成分とするさまざまな行列式を中心に研究を行った.平面分割や交代符号行列の数え上げ問題に関連してCatalan数や二項係数を成分とするHankel行列式がViennot, Gessel-Xinなどによって与えられていたが,この研究では,これらの行列式の一般化を考察した.Viennotの結果の多変数版として古典群の指標を成分とするある種の行列式が長方形のYoung図形に対応する既約指標で与えられることを昨年度の研究で見出していたが,今年度は,組合せ論的な別証明を与えることに成功した.また,Gessel-Xinの結果を一般化し,対称関数を用いた証明を与えた. 交代符号行列の組合せ論と可積分模型への応用においては,平面分割(plane partition)の精密な数え上げが鍵となる.今年度の研究では,対称関数環とその上の作用素を用いることにより,shapeの与えられたreverse plane partition, reverse shifted plane partitionの対角和に関する母関数(trace generating function)をhookを用いた積の形に表すGansnerの公式の一般化を考察した.Hall-Littlewood関数やMacdonald関数を用いることにより,reverse plane partsition, reverse shifted plane partitionの重みつきtrace generating functionを具体的に積の形に表す公式を得た.
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