研究実施計画に記載の通り、本年度は、Rasmussen氏(7月〜)、Cadoret氏(5月〜9月)、Saidi氏(12月)の来訪を受け、代数曲線の被覆と基本群に関する数論幾何について、研究の目的を十分果たすことができた。(特に、Saidi氏の来訪は、本補助金の使用により実現した。)より具体的には、次のような重要な研究成果を得ることができた。 1.Rasmussen氏とのガロア表現に関する共同研究について、Q上のg次元アーベル多様体Aの同型類と素数1の組で、Aの全ての1冪等分点を添加して得られる体が1の外で不分岐で1次円分体上副1な拡大になるようなものは有限個しかないことを予想しg=1の場合に証明していたが、本年度は、gが3以下の場合及び一般リーマン予想の仮定下での一般のgの場合にこの予想を証明できた。 2.Cadoret氏とのフルビッツ空間に関する共同研究について、本年度は、有理数体上有限生成な体上の曲線の上のアーベルスキームに対し、そのファイバーに現れるアーベル多様体の有理的なp冪ねじれ点の位数に対する上界の存在を証明、系としてFriedのモジュラータワー予想の1次元の場合を証明した。 3.Saidi氏との正標数に関する共同研究について、本年度は、有限体上の曲線やその関数体の遠アーベル幾何に関して、素数の無限集合Σである条件を満たすものに対し、幾何的基本群を最大副Σ商に置き換えた場合のIsom版を証明できた。 また、本補助金を使用して9月に韓国KIASを訪問して研究集会「Asian Conference on Arithmetic Geometry」に参加し、成果発表とともに、他の参加者との意義ある研究交流、情報交換ができた。
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