研究概要 |
有限次代数体k_0に1のl乗根(lは素数)をすべて添加した体をk_1とする。k_0の有限素点vを1つ固定し、そのk_1での惰性体、分解体をそれぞれF,F_Dとする。拡大体F/F_Dはいたるところ不分岐なアーベル拡大体で、そのガロア群(vの分解群)Dはvのフロベニウス置換で生成されるfree profinite group(of rank 1)となる。 素点vの剰余標数をpとし、M_pをpの外で不分岐なFの最大アーベルpro-p拡大体とすると、ガロア群X=Gal(M_p/F)は自然にD-加群となる。従ってDのp進整数環上の完備群環をAとすると、A上の加群となる。 以下、pは奇素数とする。今年度に得られた結果は、基礎体が有理数体の場合、XはA-加群としてAの可算無限個の直積A_∞と同型になる、というものである。 Dのp-Sylow部分群と対応する体をF_p,pの外で不分岐なFの最大pro-p拡大体をM_pとする。前年度の結果により、基礎体が有理数体の場合は、ガロア群G_p=Gal(M_p/F_p)はfree pro-p群である。このことから、ガロア群Gal(M_p/F)がprojective profinite groupであること、更にXが射影的D-加群であることが従う。今年度は、任意の「初等的な」有限D-加群がXの商として現れることを示した。これより、以前に得られていた(embedding problemによる)A_∞の特徴付けを適用して、上の結果が得られる。
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