研究概要 |
1.本研究課題のメインテーマの一つを 問題 積を空間内の点で表す場合,ある積を表す点に最も近い良く知られた積を表す点はなにか?それを見つけるシステマチックな方法を発見せよ と大きな枠組みに設定した.2007年1月に開催された幾何学関係の国際会議(Paris)にてGerstenhaber教授と上記のテーマについて話し合った.同教授の意見は、久保の提出している問題はまったく新しい観点であり自身も検討するというものであった.20年度にはペンシルバニア大学でさらに検討する予定である. 問題解決のヒントを逆問題に見出そうという試みを続けている。逆問題についての概要「逆問題入門」を研究報告集「Proceedings of the 21th Summer Seminar on Lie algebras and Related Topics」(平成18年8月)に掲載した. 2.三項積の変形理論における鍵となる双対境界作用素として,三項積をもつ代数に内的に直接定義する山口の方法とその代数を含むリー環の蓄積された理論を用いる外的なHarrisの定義がある.久保は山口作用素が適当であると提案している. 問題 山口・Harris両者の理論が共存するか否かを明確にする. 彼らの論文のみからは,その共存の可否について判定することは難しいと判断し,これらの理論を包括するより一般的な枠組みを探している. 3.積とそれを定数項にもつ多重線形写像係数のべき級数から構成される積について,固定された基底に関する構造定数の表すそれぞれの積の関係を表す行列を低次元の場合に計算している.上記1の問題解決の一つの例を構成する出発点である.これに,線形逆問題を設定して,一般逆行列やTikhonov正則化法を用いて,良く知られた積の推定解を求める.多くの工学的問題とそこに現れる代数的積の萌芽に触れ,提案しているアイデアがいくつかの問題の解決に役立つ知見を得た.
|