研究概要 |
1.本研究課題のメインテーマの一つを 問題 積を空間内の点で表す場合,ある積を表す点に最も近い良く知られた積を表す点はなにか? それを見つけるシステマチックな方法を発見せよと大きな枠組みに設定した.2008年12月にペンシルバニア大学のGerstenhaber教授を訪問し,上記のテーマについて話し合った.任意の積を表す点と結合代数を表す多様体上の点の距離の二乗を最小にする点を見つける代数的着想や,接空間上の点に自然に対応する多様体の点を見つける幾何学的着目を得た.また,新規のテーマであるを再確認した.その後,簡単な例(二次元)を設定し,前者の着想で計算を行っている.一般次元および結合代数とは限らない代数系にも適用が期待される. 2.三項積の変形理論における鍵となる双対境界作用素として,三項積をもつ代数に内的に直接定義する山口の方法とその代数を含むリー環の蓄積された理論を用いる外的なHarrisの定義がある.久保は山口作用素が適当であると提案している. 問題 山口・Harris両者の理論が共存するか否かを明確にする. 彼らの論文のみからは,その共存の可否について判定することは難しいと判断し,これらの理論を包括するより一般的な枠組みを探している. 3.山口清氏は4元数・8元数の一般化を試みておられる.同氏に広島大学に来ていただいてその成果について話合った.一般化された数体系を代数的変形理論の枠組みの中でとらえることを提案した.一部は変形によって得られる可能性がある.共同研究を行うこととした. 4.The Fifth China-Japan-Korea International Symposium on Ring Theoryにおいて,リー積と併存できる代数積を決定した研究成果"Compatible algebra structures of Lie algebras"を発表した.
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