研究概要 |
1.本研究課題のメインテーマの一つを 問題積を空間内の点で表す場合,ある積を表す点に最も近い良く知られた積を表す点はなにか? それを見つけるシステマチックな方法を発見せよ と大きな枠組みに設定している.任意の積を表す点と結合代数を表す多様体上の点の距離の二乗を最小にする点を見つける代数的着想や,接空間上の点に自然に対応する多様体の点を見つける幾何学的着眼を得ていた.この新規のテーマの一つのモデルを構築すべく,簡単な例(二次元)を設定し,前者の着想で計算を行った,代数的集合をグレブナ基底を用いてパラメータ表示をし、多変数の極値問題として目的の点を見つけるという戦略である.グレブナ基底や最小値の計算には数式処理ソフトを用いた.(投稿中:F.Kubo & F.Suenobu, The closest associative structures of algebra structures) 2.上記の結合代数を表わす代数的集合はいくつかの部分に分かれる.それぞれの部分の点たちを代数的変形(研究課題名にある構成法)で移り合えることを発見した.この過程で,「多項式変形」という概念を導入した.これ自身も新たな研究対象である. 3.1-2の研究方法は他の代数系にも適用できることが期待され,現在は低次元リー環で試行している.多項式系で定義される代数系のすべてに適用するためには,いま一つの新しい観点が必要と思われる. 4.当該研究の特徴の一つとして,代数の構造を調べているにもかかわらず微分幾何学など多くの数学分野からの知見を必要とすることがあげられる。また、新領域への入り口としての意義と,工学へ応用という以下の期待がある : 初めて遭遇した計算結果に潜む代数系をその結果に最も近い結合代数を用いよ.されば、計算時間を節約でき、省エネにつながる.
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