研究概要 |
平成20年度も平成19年度に引き続き,Partition代数の直交形式による既約表現の構成に取り組んだ.平成19年度中に岡山大学の成瀬弘氏がMurphy作用素を計算するプログラムをGAPで作成したが,今年度はそれをMapleのプログラムに書き直した.書き直しの過程でいくつかの異なる計算方法を試みることで,前年度に得られた結果の検証を行った.その結果,前年度得られた結果の正しさが確認されただけでなく,メモリの使用量,計算時間に対し大幅な改善も得られるようになった.すでに4次までのPartitionの既約表現をすべて求めることに成功しているが,5次以上の一般Partition代数の既約表現の一般形はまだ得られていない.しかし,成分の有理式の分母については,Partition代数のBratteli図形に現れるヤング図形の鍵長と軸間距離で記述されるというところまで観察できている.分子については,因数分解が出来ない項が存在するなど,まだ未解明な点もあるが,Mapleプログラムにしたことで,式の表示方法を容易に変更することが可能になった.今後は作成したプログラムをもとに,様々な式の表示およびMurphy作用素の満たす交換関係式を明らかにすることで,鍵長や軸間距離に関する関係式,さらには現在流行りのシューベルト多項式等の対象関数に関する性質の解明を試みる他,A. Ram氏によりマッカイ対応との関連も指摘されたのでそちらについての研究も行う予定である.
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