研究概要 |
古典群に対してその指標公式の分母が一次式への因数分解されるというヴァンデルモンドの公式の一般化である有名なワイルの分母公式は、その成分がランク1のその型のリー群の既約指標の変数を一変数に制限したものの行列式の公式とみなすことが出来る。研究代表者小池と研究分担者伊藤は、この見方に立って、ワイルの分母公式を古典群の場合に拡張し、その行列成分として、行のインデックスとして固定した長方形に含まれるヤング図形、列のインデックスとして変数の部分集合をとり、成分としてはヤング図形と対応する変数を制限した既約指標を置いた行列の行列式が、各々の型の基本交代式のべきになることを示した。べき指数が1のときが古典的な場合である。この公式は青本-伊藤による、BC_n型ジャクソン積分が満たすホロノミックq-差分方程式の基本解を構成するという結果において、基本解が方程式のランクの個数だけ存在し、かつ一次独立であることの証明において不可欠な役割を担っている。さらに伊藤は前年度の結果を拡張し、BC_n型ジャクソン積分が満たすq-差分方程式系の一般解を基本解の線形結合で表示する公式(接続公式)を具体的に与えた。 研究分担者谷口は,D_4型ワイル群がF_4型ワイル群中、正規部分群になっていることに注目し、4変数2次同次多項式のなすベクトル空間上におけるD_4型ワイル群の表現の基底から,初等的にF4型ワイル群の不変式を構成した。
|