研究概要 |
1.有限簡約代数群のGelfand-Graev表現のヘッケ環、H、の表現とガウス和との関係についてまず研究をした.Hは可換環なのですべての既約表現は1次表現であり、これらは全てDeligne-Lusztig理論によりパラメトライズされている.またHには標準基底とよばれる自然な基底があり、これらも分かっていると言うことができる.従って問題はこれらから指標表を作ることである.特に、指標値とガウス和等の指標和との関係を明らかにし、できれば指標表をこの観点から解明することが大切である.例えば、一般線型群GL(n,q)の場合には、ワイル群のコクセター元に対応した標準基底の元上における既約指標の値が、GL(n,q)のガウス和になる(Curtis-Shinoda 2004).しかし他の型の簡約代数群ではコクセター元に対応する標準基底の元は存在しない.従ってガウス和を与える基底の元を具体的に求めることは大変興味深い問題である.この問題についてHのフーリエ変換を考えることによりSp(4,q)の場合には解を与えることができ、Sp(2n,q)の場合には予想を与えることが出来た.他の型も含めてさらに研究中である. 2.五味はコクセター群に付随するヘッケ環のマルコフトレースを考察し、A型など古典型のみに知られていた性質をもつトレースが全ての型に対して自然に存在することを示した.鏡映表現を与える空間の対称代数と外積代数のテンソル積とそのモリエン級数を考えそれをLustzigの意味でフーリエ変換するのである. 3.中島は量子群の表現で特に結晶基底とシュウベルト多様体上の幾何基底について研究をした.都築、角皆は整数論の立場から研究をし特に都築は古典的なグリーン関数を一般化したグリーンカレントについて研究した.
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