都築は不定符号ユニタリー群と、対応するエルミート形式付空間における非等方直線の固定部分群を組みにした対称対に対するプランチェレル測度がユニタリー群における余コンパクト数論的不連続群上の特別な保型形式の「周期」の2乗ノルム平均で近似されることを意味する漸近公式を、連続スペクトルを含めて完全な形で証明した。これは平成18年度に、離散スペクトルで証明した部分的な結果を補完するものである。また、平成19年度に得られた実双曲空間の波動形式の周期積分の2乗ノルム平均の固有値に沿った漸近公式の研究を継続しておこなった。特に、この漸近公式をPoppaによるWaldspurger公式の精密化、および、実2次体の狭義イデアル類指標のL関数の中心線での劣凸評価とを組み合わせることで、上半平面上のマース波動形式と狭義イデアル類指標に付随するテータ関数との合成積L関数の1/2での値の集合に関して、ポアンカレ双曲計量に対するラプラス固有値に沿った漸近公式を証明した。論文は現在準備中である。また、漸近公式の証明のあるステップの技術的簡易化に成功し、これによって、実施計画に述べたような、この種の漸近公式をもっと一般の対称空間に拡張して証明するプランに対して明るい見通しが得られた。
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