都築は、19年度、20年度に行ったユニタリー群の合同部分群に関する保型形式の周期積分の2乗平均ノルムの合同部分群塔に沿った漸近公式の研究および、実双曲空間上の固定した合同部分群上の波動形式の周期積分の2乗平均ノルムのラプラス固有値に沿った平均的漸近公式の研究を通して得たテクニックを発展させて、古典的なマース波動形式のL函数の中心特殊値に対して類似の漸近公式を証明した。このケースでは、L函数を与える周期積分が発散する状況が必然的に現れ、適切に発散を繰り込みながら計算する必要がある。今年度に得られた最大の進展は、この発散積分(級数)を適切に正規化する方法を考案し、前年度までに得られていた研究方法を拡張したことである。この結果は、総実代数体上のGL(2)の保型表現のL函数の中心特殊値に対して更に拡張可能なことが21年度終盤で確認できた。論文の一部分は既に完成しており、現在投稿中である。
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