研究概要 |
実施計画に記した目標および関連事項に関して、以下の研究成果が得られた。 (1)代表者の泊は、2次元正規特異点の特異点解消におけるArtinの基本サイクルと極大イデアル因子の同一視に関して、1997年に泊が得た結果を精密化する事ができた。「2次元特異点の一般的超平面切断として現れる1次元特異点が重複度分の既約成分を持つ(*)」と仮定すると,任意の特異点解消上で上記の同一視問題が肯定的に成立する。この(*)は正規化ブロウイングアップについての接錐が被約であることと同値である。2重点についてのJ.Dixonの結果の拡張となる。また、隣接する問題として、星型特異点が次数付き特異点と同等特異性を持つ場合の重複度の同一性に関する一つの十分条件の考察に進展があった。フィルター付きブロウイングアップの後の極大イデアルの逆像に因子的が成り立つかという良い条件の成立・不成立について2重点の場合に具体的ないくつかの例での検証ができた。(2)渡辺は、正標数の環の2つのイデアルの組に対するF-thresholdの概念は起源を乗数イデアルの跳躍数に発するものだが,純環論的にも意味がある概念と思われる.今年度はこの概念とイデアルの重複度との関係をあらわす不等式に挑戦し,次数付き環における次数付きイデアルに対して不等式の証明に成功した(Huneke,高木俊輔との共同研究).イデアルの組(I,J)に対する係数イデアルa(I,J)の構成を単項式で生成されるイデアルについて行い,a(I,J)を決定する「試行の回数」と節減数が一致するなどの結果を得た(大西智史との共同研究).また,与えられた整数aと与えられた正規射影多様体Xに対して,正規Gorenstein次数付き環Rでa不変量a(R)=aであるもの存在に関する研究を行った.
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