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2006 年度 実績報告書

代数幾何学的方法によるベクトル値ヤコビ形式の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18540053
研究種目

基盤研究(C)

研究機関明治大学

研究代表者

対馬 龍司  明治大学, 理工学部, 教授 (20118764)

研究分担者 後藤 四郎  明治大学, 理工学部, 教授 (50060091)
後藤 英樹  明治大学, 理工学部, 助手 (70409449)
キーワード代数幾何学 / ジーゲル保計形式 / 佐武コンパクト化 / リーマン・ロッホの定理 / 小平・中野の消滅定理 / ヤコビ形式
研究概要

代数幾何学の方法によってベクトル値ヤコビ形式の空間の次元を計算することを目標としている。
リーマン・ロッホの定理によって計算するのであるが、計算の方は既に終わっている。問題はリーマン・ロッホの定理に現れる高次のコホモロジー群の消滅を証明することである。本年はこの証明に関して研究した。
ヤコビ形式は或る種のベクトル値保型形式に対応し、この保型形式は或る正則ベクトル束の正則切断と同一視される。この正則ベクトル束は、重さ半整数のジーゲル保型形式に対応する正則ベクトル束と、或る平坦なベクトル束の直積であるが、これらのベクトル束は、指数mのヤコビ形式に対応する場合には、レベルが4mの倍数であるジーゲル空間の非特異コンパクト化へ延長可能である。
上の、重さ半整数のジーゲル保型形式に対応するベクトル束と、平坦なベクトル束にはそれぞれSp(2,R)不変なエルミート距離が入る。平坦なベクトル束のこの距離に関する曲率はもちろん0であるが、重さ半整数のジーゲル保型形式に対応するベクトル束のこの距離に関する曲率は、小平・中野の意味で正である。よって商空間がコンパクトであれば、小平・中野型の消滅定理より直ちに高次コホモロジー群の消滅定理が従うのであるが、今の場合は商空間はコンパクトではない。この距離は商空間の非特異コンパクト化の境界に沿って退化している。また、ジーゲル上半平面のケーラー距離はSp(2,R)不変であるので商空間上のケーラーを誘導するが、この距離も境界に沿って退化している。
この様なベクトル束に対して小平・中野型の定理を適用するためには、境界に沿って退化したエルミート距離に関する調和積分論があればよい。即ち、対応するベクトル束のコホモロジー群がこの距離に関する自乗可積分な調和微分形式の空間に同型であるという、調和積分論が成り立つものと考えられる。もしこれが成り立てば、通常の小平・中野型の消滅定理の証明と同様にして、先の高次コホモロジー群の消滅が証明出来る。
この調和積分論の成立を示すためには、先の高次コホモロジー群がドルボー群と同型であるという、ドルボーの定理を示す必要がある。但しここに言うドルボー群とは、(先の距離に関する)自乗可積分な微分形式に関するドルボー群である。このことを示す為には、通常の様に境界まで延長されたベクトル束の正則な芽の層を、このベクトル束を係数とする(先の距離に関する)自乗可積分な微分形式の芽の層の複体で解消する完全系列の存在を示せばよい。これは自乗可積分なドルボーの補題と呼ばれるべきものである。このドルボーの補題について研究した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The leading ideal of a complete intersection of height two2006

    • 著者名/発表者名
      Shiro Goto 他2名
    • 雑誌名

      Journal of Algebra 298-1

      ページ: 238-247

  • [雑誌論文] When does the equality I~2=QI hold true in Buchsbaum ring?2006

    • 著者名/発表者名
      Shiro Goto, Hideto Sakurai
    • 雑誌名

      Lect. Notes Pure Appl. Math. 244

      ページ: 115-139

  • [雑誌論文] Quasi-socle ideals in Gorenstein numerical semi-group rings2006

    • 著者名/発表者名
      後藤四郎, 松岡直之, 木村了
    • 雑誌名

      明治大学理工学部研究報告 30

      ページ: 1-8

  • [雑誌論文] Iwasawa invariants on non-cyclotomic Zp-extensions of CM-fields2006

    • 著者名/発表者名
      後藤英樹
    • 雑誌名

      Proc. Japan Acad., Ser. A, Math. Sci. 82-9

      ページ: 152-154

  • [図書] 線形代数学II2006

    • 著者名/発表者名
      対馬龍司
    • 総ページ数
      94
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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