平成18年度の研究実施計画の項目(1)は、4次元ユークリッド空間内の平均曲率一定曲面のPinlの定理の一般化である。これについては、複素2次元複素空間形内の実2次元曲面で平均曲率ベクトルが平行で一般型の場合を考察した。まず、このような曲面の誘導計量が満たされるべき条件を種々求めた。それらの中で、曲面のガウス曲率、平均曲率ベクトルの長さ、と複素空間計の曲率だけに依存して定まるあるスカラー関数のラプラシアンに関して、それがまたガウス曲率だけで表されることを発見した。この等式は古典的なRicciの等式の一般化であると思われる。ひきつづき、これの逆について研究した。また。ここまでの研究成果は平成18年8月11-21日にイギリスのダーラム大学で行われた国際研究集会「Methods of Integrable Systems in Geometry」で発表され、講演終了後、会議の参加者との間で有意義な意見交換を行った。そのときの講演題目はOn the Ricci condition of cmc-surfaces in complex space formsであった。実施計画の(2)は複素2次元複素空間形内の実2次元曲面で平均曲率ベクトルが平行な一般型の場合にバランス公式の一般化を行うことであったが、これに関する成果は得られなかった。越後湯沢で行われた部分多様体論に関する研究集会、スペインでおこなわれた国際数学者会議に参加し、この研究主題に関する情報交換や資料収集を行った。
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