研究課題/領域番号 |
18540067
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伊藤 光弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40015912)
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研究分担者 |
山口 孝男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
田崎 博之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (30179684)
川村 一宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40204771)
佐藤 弘康 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 準研究員 (00375396)
山瀬 尊久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 研究科特別研究員 (20451677)
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キーワード | フィッシャー情報計量 / ポアソン核 / 熱核 / 確率密度関数 / 無限遠境界 |
研究概要 |
本研究の課題である4次元微分ポアンカレ予想および改変ヤマベ不変量の周辺のテーマについて今年度は研究を進めた。特に改変ヤマベ不変量が負あるいは空間が負曲率のケースについてT. Friedrichによる情報幾何学の成果やSzaboによる調和空間Lichnerowicz予想解決手法やBesson, Courtois et Gallotによる局所対称空間剛性定理での手法などを大いに摂取して研究の展開に努めた。負曲率完備リーマン空間上のポアソン核や熱核から定まる確率測度空間への自然な写像の幾何学的性質の解明に以下に示すように進展があった。成果は専門誌にて受理印刷中。Xを単連結負曲率完備リーマン空間(曲率は負値で上下ピンチされているものとする。特に階数1非コンパクト型対称空間)とする。Xの無限遠境界bXでのラプラス方程式に関するディリクレ問題はポアソン核関数を用いて積分表示できる。このことはポアソン核が無限遠境界bX上の確率密度関数であることを示している。熱核も同様に時間t依存の確率密度関数(X上の)。これら核関数によりXからbX、またはX上の確率密度関数全体の空間P(bX)(またはP(X))への自然な写像が定義される。P(bX)(またはP(X))には情報幾何学の立場からフィッシャー情報計量が自然に定義されている。Xが階数1非コンパクト型対称空間のとき、この写像は定数倍を除いて等長的であることを示すことができた。あらわれる定数は体積エントロピー(体積増大度)という幾何学的量で、これが情報計量と自然に結びついていることが今回の研究であきらかにされた。対称空間以外のXについても同じ主張がいえるか来年度にむけ研究の方向性が明確になったといえる。
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