1)3次元双曲空間内の平均曲率が一定で1未満の曲面のループ群論を用いた構成法を研究した。Joser Dirfmeister氏・小林真平氏と共同研究を行い、この種の曲面のガウス写像が双曲空間の単位球面束に値をもつ水平的な調和写像であることを示した。さらに水平的なガウス写像が特殊線型群のループ群を用いて構成できることを証明した。またDorfmeister-小林-Peditによる複素平均曲率一定曲面の特殊な実形(real form)としてこの種の平均曲率一定曲面が現れることを明らかにした。 2)昨年度、3次元可解リー群内の極小曲面に対する表現公式をS.Lee氏との共同研究で得た(Proceedings of American Mathematical Societyに掲載された).3次元冪零リー群(ハイゼンベルグ群)内の極小曲面に対する表現公式の確立を考察した。その結果、2次元双曲空間に値をもつ調和写像から冪零リー群内の極小曲面を構成する表現公式を得ることができた。(Differential Geometry-Dynamical Systems誌に掲載された) 3)宇田川誠一氏と共同研究を行い、3次元アフィン空間内の固有アフィン球面に対するループ群を用いた構成法を得ることができた。この成果は宇田川氏との共著論文Affine spheres of finite and Symes methodとして発表予定である。 4)内藤博夫氏と共同研究を行い特殊ユニタリー群SU(2)の軌道型グラスマン幾何学を考察した。SU(2)における軌道型曲面の存在条件を求めることができた。また軌道型平均曲率一定曲面を与えることに成功した。論文Grassmann geometry of 3-dimensional unimodular Lie groupsとして発表予定。
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