研究概要 |
今年度は、まず3次元多様体の重要なクラスであるレンズ空間内の結び目のデーン手術でレンズ空間が得られる場合を考察した。特に、レンズ空間内の強可逆結び目と下ーラス結び目のデーン手術の研究を中心的に行った。具体的には、レンズ空間L(4mn-1,2m)からL(2k,1)への強可逆結び目のDehn手術を分類し、共著論文"Rationaltangle surgery and Dehn surgery on knots in lens spaces"にまとめた。この結果はDNAの組み換え酵素XerCDの作用の様子の位相幾何学的な特徴付げに応用がある。例えば、6-catと呼ばれるDNA絡み目にXerCDが作用し、7交点のトーラス結び目であるDNA結び目を生むことが知られているが、この作用の様子の特徴付けを行うことが出来た。 また,もうーつの研究として,DNAの作る絡み目のXerCDによる絡み目解消操作の特徴付けを行った。DNA絡み目は細胞が複製される際に現れ,細胞分裂の前までに絡み目解消が行われる。その絡み目解消は普通トポイソメラーゼと呼ばれる酵素が行うが,XerCDも絡み目解消を行うことが最近の研究(EMBOJ.2007)で明らかになった。今回の研究では,XerCDによる絡み目解消操作の様子を位相幾何学的に特徴付けた。その証明には,絡み目の外部の曲面と絡み目のツイストとの関連に関する結び目理論の結果が用いられている。
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