研究概要 |
本研究では,リンク・ホモトピーより細かな同値関係として,自己Cn-同値を考え,この同値関係とMilnor不変量μ(I)との関係を調べる。リンク・ホモトピーとμ(I)との関係は良く知られているが,自己Cn-同値とμ(I)との関連はあまり知られていない。自己Cn-同値は,n=1の場合はリンク・ホモトピーであり,n=2の場合は自己delta-同値と呼ばれる同値関係である。 リンク・ホモトピー同値の分類は既に解決している。自己delta-同値(=自己C2-同値)による分類は,2成分の絡み目に関してのみ解決済みであるが,一般の場合はもちろんのこと,3成分の場合でさえ未解決である。 自己Cn-同値は研究代表者と渋谷氏との共著「Self Ck-move, quasi self Ck-move and the Conway potential function for links, Journal of Knot Theory and Its Ramifications,13(2004),877--893」で初めて定義された同値関係であり,まだまだ課題が多く興味深い研究対象である。この論文の結果と,Murasugiの論文「On Milnor's invariant for links, Trans.Amer.Math.Soc.,124(1966),94--110」の結果を合わせると,Iの中で同じ数が高々n回現れる場合,2成分絡み目のμ(I)は自己Cn-同値の不変量になることがわかる。そこで,この一般化として,以下の問題が自然に浮かぶ。 問題:Iの中で同じ数が高々n回現れる場合,m成分絡み目のμ(I)は自己Cn-同値の不変量か? 本年度は,この問題を肯定的に解決した。
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