研究概要 |
結び目,絡み目補空間のNovikov複体に対するトーションおよびあるゼータ関数の,多重値モース理論に付随するヘガード分解を使った組み合わせ的な計算を行った.その過程において,計算で使ったヘガード分解,正確にはその分解が誘導するチェイン複体が本来のNovikov複体とチェインホモトピー同値であることが判明した.そこで,特にWhiteheadトーションのアイデアを使い,このチェイン複体の構造およびこの複体上のflowの研究を行った.この研究によって,Novikov複体に対するトーションとSeiberg-Witten不変量との関係がより明確になったと考えられる. さらに,境界部分に流れるflowの考察がこれまでものでは甘いことが判明したので,元の定義を再検討し,精密なものにした. 上述のNovikov複体に対するトーションとゼータ関数の積は,Alexander多項式になる.この枠組みの‘ねじれ'版の完成を目指し,これまでにねじれAlexander不変量に関して知られていることをまとめ,日本数学会メモアール第5巻として出版した.上述のflowとは定義の異なるCeller flowというflowに対しては,上述の枠組みのねじれ版が本年度の研究によってほぼ出来たと考えている.しかしながらこれはSeiberg-Witten不変量と直接関係するとは考えにくいものなので,更に考察を進めヘガード分解が誘導するチェイン複体上のflowに対するものの研究を進めたいと考えている.
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