研究概要 |
しかるべき空間内の曲線の1径数族は曲線の運動ともよばれる。曲線の運動の下、曲率等の不変量は時間とともに変化するとみなすことができるが、特別な運動に対しては可積分系理論に現れる発展方程式が対応する。このような特別な運動を幾何的に説明する例はあまり知られておらず、先行する結果としては、固定された囲む面積をもつ中心アファイン閉曲線全体が自然なシンプレクティック構造をもつことを用いて,全中心アファイン曲率の生成するハミルトン流に沿って中心アファイン曲率がKdV方程式に従うことを示した、ピンカールによる結果が挙げられる。そこで、平成19年度では黒瀬俊氏(福岡大学)との共同研究により、平成18年度において研究した離散化を伴う曲線の可積分な運動を更に発展させ、ハミルトン系としての特徴付けについて考察した。より具体的には、複素双曲線上の閉曲線のなす空間にシンプレクティック構造を入れ,ハミルトン流に沿って曲率がバーガーズ階層に従うハミルトン関数を定義し、更に,このハミルトン関数を不変にするハミルトン作用を扱った。これらの内容は現在平行して研究中の可積分系と関わる曲面族をよりよく理解するための新たな知見ともなった。 また、研究にあたっては陶山芳彦氏(福岡大学)、宮岡礼子氏(東北大学)、小磯深幸氏(奈良女子大学)、大仁田義裕氏(大阪市立大学)、梅原雅顕氏(大阪大学)を始めとする人々との交流が大いに刺激となったことを付け加えておきたい。
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